おのぼり日記
水曜日, 9月 21st, 2005海外旅行などにはまったく興味がなく、わたしの旅というと、もっぱら東京。しかも、たいていの目的は、映画鑑賞。いたってつまらない私なのだ。
映画祭のボランティアをすることを決めたので、それまではアルバイトなどで食いつなぐ日々なのだけど、ふと魔が差して、ふと、「あ、『さよならみどりちゃん』を観ずしておのれ死ぬことができるのか?」という自問になやまされ、ええいままよ!生活なんて米と塩と水さえあればなんとか死なぬではないか!と、有り金にぎりしめて東京へと旅立った。
帰る日は決めず、ある程度の目的を決めて、目的が済んだら帰ってこよう、そんなフーテンな旅。宿は、いつもお世話になっている弟宅。
2005.9.13(Tue)
夕方、東京着。
高円寺にて台湾料理の定食とビール。ほろよい帰り道、いつも立ち寄る小さな古本屋など商店街巡回パトロール。
2005.9.14(Wen)
□『さよならみどりちゃん』 at 新宿トーア
西島秀俊主演。それだけで十分だと思って観たけど、そのだめ男ぶりは、俳優としての新境地だなあと、ため息が出た。西島さんの意外にだらしない体つきもすてき。確かに原作の雰囲気とは少しずれている気もするけど、映画自体も好感のもてる仕上がり。自分のだめ男好きを改めて確認してしまったり、なかなか痛いお話ではあったかも。
□『せかいのおわり』 at 渋谷シネ・アミューズ
昨年のぴあで観ていたけど、どうしても納得いかないところがあって、再び鑑賞。男と女のあいだにある割り切れない感情。まるで夏風邪みたいに、すっきりしないものなのだ。それは、やさしさがあればあるほどやっかいで、映画を観る限り、風間志織監督も結局は解けなかったナゾだったなあと、思った。男だとか、女だとか、好きの種類とかなんとか、すべて面倒くさいなあと思った。映画の終盤、どうでもよいシーンで、泣けてしまった。切なさのきわみ。こんなに好きなのに、こんなに大切に思っているのに、どうして、どうして。人を好きになるなんて、不幸のはじまりだ。恋なんてしたくないなあ、と思った。
ま、いたってコミカルな映画なので、いろんな人がいろんな感想を持つ映画だと思う。
□『リンダリンダリンダ』 at シネセゾン渋谷
おもしろいじゃないですかっ!と思った。ネットのカキコを読んでいたら、大いに賛否両論の映画で、ちょっと不安に観ましたけど、素晴らしかった。個人的には「スウイング・ガールズ」よりもすうだんよかった。このくらいのウキウキとか、かったるさとか、わたしたちのほんとうの青春はこのくらいこじんまりとしたものだったなあと、思った。音楽もすてき。潮音ちゃんも、ぺ・ドゥナも、かわいかったし。
まあまあ映画観疲れたので、レイトはけって、ビールを買って部屋に帰って、弟まじえて小酒盛り。
2005.9.15(Thu)
□『長江の夢』 at アテネフランセ文化センター
アテネフランセに行ってみたい興味だけだったけど、ちょうど今はドキ山関連の上映をしていたので、好みの中国映画を一本観た。このたびの映画祭でコンペに入っている「水没の前に」同様、2009年に完成する世界最大の山峡ダムに沈む地域に暮す人々の群像。メインで登場するおばあさんに心惹かれたけど、ダムに沈むんだなあといったむなしさなどはあまり感じられなくて、いまいちかなあという感じ。「水没の前に」は、ダム(@忍者)さんに予備知識をいただいて、とても楽しみな一本。
アテネフランセは、古いコンクリの匂いと、冷たい感触が印象的。とても好み。
水道橋をぶらぶら。「珈琲時光」の浅野扮する肇が店主の古本屋が、あった。誠心堂。
夕方、鈍行列車で高崎へ。格安温泉旅館泊。
2005.9.16(Fri)
□『イン・ザ・プール』 at シネマテークたかさき
原作を読んでいたので、原作がとてもおもしろかったので、映画はまったく期待せず鑑賞。思ったよりは、ずっとおもしろかった。人はだれでも、ちょっとばかし狂うスイッチを袖の下にかくしているのね、意図的にね。いつか、いつかスイッチ押してやる。カチッと切り替えて、リフレッシュして、リセットして、楽になってやる。みーんな一緒だ。わたしもあなたも。映像化されたこのお話を観て、改めてそう思った。
NPOが経営するコミシネ系映画館・シネマテークたかさきを見学。このためにわざわざ2時間半も鈍行にゆられて、群馬くんだりまで行ったのだった。ロビーもこじんまりとしていて、地味でよい。劇場も、深緑の壁は暗転時に場内を真暗にするし、いすのすわり心地もよいし、なにより音響がすばらしい。ちょっと遠いけど、行ける人は行ってみたらよいと思う。
「イン・ザ・~」のロケにも使われた地元・伊香保温泉の街を散策。名物・水沢うどんを土産に買って、ふたたび鈍行に2時間ゆられて、帰宅。どっぷり疲労。
2005.9.17(Sat)
疲れているのに、無性に風呂掃除がしたくなる。小一時間汗だくで風呂にこもり、水シャワーをあびた後、高円寺のアジア料理屋で500円ランチ。国分寺で珍屋はしご。夕方、吉祥寺で弟と待ち合わせて、お茶。夜、渋さ知らズ凱旋ライブ。もえた。わたしの夏も終わりましたー、という感じ。
2005.9.18(Sun)
ゆうべの疲れで、すっかりまったり。耳鳴りもするし、今日は映画はどーよ?と思いつつ。
□『メゾン・ド・ヒミコ』 at 新宿武蔵野館
大混雑で座れたのは一番前の席。大画面いっぱいに映る西島秀俊にふたたび熱くなる。柴崎コウがブサイクでかわいい。犬童一心の映画を観ると、いつも「?」が残るのだけど、「ジョゼ~」よりはしっくりきた気がした。意外に内容はうすい。でも、映像もきれいだし、細野の音楽もすてきだし、、超満員の中でも観てよかった。
新宿は祭りだった。ちょうどおみこしが通り過ぎるところに遭遇。この土日は、東京あちこちお祭りだったみたい。渋谷のみこしも見たかったなあ。夜、ヤマダーと待ち合わせて、大久保のアジア料理屋台村にて酒を飲む。
2005.9.19(Mon)
□『いつか読書する日』 at ユーロスペース
まわりのいざこざのせいではなればなれになってしまった若い男女。時が経ちすぎて、街のうわさも風化されて、永遠に結ばれないことも当たり前になっていて、だけど本人たちはどこかでお互いを思い続けている。頭の片隅、というよりは、もっと違った感覚の部分で思いあっている。それがある日突然、結ばれる日が訪れる。ひとりの男を、求めるでもなくただ思い続ける女=田中裕子が、んーもっと美しく映ってもよかったんじゃないのかなあと思ったり、「誰も知らない」ばりの社会派ネタが少し邪魔に思えたり、あれこれ重箱の隅をつつきたくなるのは、きっと、なかなかよい映画だったからだと思う。はかなきものはうつくしきものなり、こういう結ばれない一途な恋というのは日本人の美徳なのかしらん?
帰り道、新しくなったアップリンクを見学。想像していたのとはちょっと違った。新ユーロスペースの建築現場も見学。もしかして現ユーロで映画を観るのは今日が最後だったのかも、そんなことを思って少しさみしくなった。パルコ地下の本屋で立ち読みして、酒を買って帰宅。せっかくいも煮を作ったのに、弟は帰ってこない。夜半前にほろよいで帰宅。ぷんぷん。
2005.9.20(Tue)
あさから浅草。尊敬する曾じいさんのお墓参りに行く。住所と名称しかわからないので、交番でお寺の場所を聞いて、てくてく歩いて30分。念願のお墓参り。今までここにたどりつくのに、随分と時間がかかった…なんか、人生の目標を失った感じ。わたしという人間の価値は、この人のひ孫として産まれたことくらいのものだと思っていて、なので、行方知れずだったお墓に出会えた今、どうも、やることやったな、という気持ちになってしまって。
浅草寺に立ち寄る。寺歩きが趣味のわたしも、なんだかんだ言って、やはりここが一番好きな寺だ。昔よく遊んだ花やしき脇を通って、劇場や映画館が立ち並ぶ通りを歩く。小倉アイス最中を食べる。天丼を食べる。ビールを飲む。
神保町で古本屋をひやかす。さぼうるでアイス珈琲を飲む。帰宅して、水沢うどんを茹でて、紹興酒を飲みながら、東京最後の晩。
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